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認知症に優しい図書館づくり広がる 「万人が使いやすく」

2017.11.27

神戸新聞NEXT  2017/11/27 11:36

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201711/0010768096.shtml

高齢化に伴い、認知症の啓発に力を入れ、当事者が利用しやすい環境を整える「認知症に優しい図書館づくり」を目指す動きが全国で広がっている。専門の図書コーナーを設けるほか、認知症の人へのスムーズな対応を職員らが学ぶなど、兵庫県内でも民間主導の活動が始まっており、当事者を支援する態勢が整いつつある。(大久保斉)

9月末、大阪市内で「認知症にやさしい図書館とは」と題したセミナーが開かれた。主催したのは、大阪大大学院の地域包括ケア学・老年看護学研究室。司書や自治体関係者ら約40人が参加し、取り組みの事例報告とグループ討議をした。

報告では、同市立鶴見図書館の木村千草司書が登壇。認知症とみられる人の来館を契機に、当事者にとって使い勝手のよい図書館の在り方を考えるようになった経緯を説明した。

同図書館は今年2月、要介護者のケア方針などを決める同市鶴見区の会合に参画して認知症に関する情報を共有。認知症とみられる来館者に体調を気遣う声掛けを始めたほか、9月には関連図書コーナーを特設し、見守りと情報発信に乗り出したという。

奈良・香芝市民図書館は闘病や介護の手記、成年後見制度などを扱う本を集めてコーナーを設置し、館内で認知症サポーターの養成講座を開いたと報告した。

同セミナーは昨年10月にスタート。2館のほか、これまでに京都市醍醐(だいご)図書館、奈良・生駒市図書館、川崎市立宮前図書館などの報告があった。今年12月1日には大阪府立中央図書館(東大阪市)で5回目が開かれる。

認知症に優しい図書館づくりが広がる背景には、身近な公共施設の代表格として、だれもが使いやすい拠点にするべきとの問題意識がある。認知症の人は本を借りたことを忘れたり、本の同じ部分を何度も複写したりするほか、館内で症状が出る恐れもあり、さまざまな局面で柔軟な対応が必要になるからだ。大阪市立図書館は8月、認知症の人への図書サービスを向上するため、全24館の職員らを対象に研修会を開いた。

筑波大の呑海沙織(どんかいさおり)教授(図書館情報学)は「超高齢社会を踏まえ、認知症の人だけでなく、お年寄りや障害者も含め、万人が等しく図書サービスを受けられるようにするべきだ。孤立しがちな人たちの生きがいづくりや世代間交流の場にもなればいい」と話す。

兵庫県内でも、住民主導で「誰もが安心して使える図書館」を目指す試みが始まった。高砂市立図書館が「バリアフリー月間」(9月16日~10月1日)を設定し期間中、認知症の特設コーナーに関連本を展示し、認知症をテーマにした絵本の読み聞かせ会や介護者の講演会などを開いた。

各地では、図書館と地域包括支援センターの連携で取り組む例が多いが、高砂市では認知症の人、障害者、介護者らでつくる市民グループ「つなぐ手と手~広げようやさしいまちづくり~の会」(高砂市)が同館に協力を求めて実現した。

関連本の一部はメンバーの蔵書を提供。認知症カフェや家族会の写真も掲示し、取り組みをPRした。同会の清水美代子さんは「安心して暮らせるまちを目指し、今後も継続して開催したい」と話している。