鏡見ながら食事、より「おいしい」…孤食対処策
2017.07.26
2017年07月26日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20170726-OYTNT50089.html
名大グループ 高齢者・大学生で実験
鏡に映った自分の姿を見ながら食事をすると、おいしく感じる――。名古屋大学の川合伸幸准教授(認知科学)の研究グループが、そんな成果を発表した。核家族化などを背景に独り寂しく食べる「孤食」が進む中、高齢者らの食卓に鏡を置くことで食事が楽しくなり、生活の質が改善する可能性があるとしている。(野村順)
発表によると、孤食は「食欲減退を招く」とも指摘されており、そうした問題の対処策を探る一環で、高齢者(65~74歳)と大学生(20~23歳)の各16人を対象に実験した。
上半身が映る縦長の鏡を机の上に置いた部屋と、ほぼ同じ大きさで、背景の壁だけが映ったモニターを置いた部屋を用意。それぞれの前で、一人で塩とキャラメルの2種類のポップコーンを90秒ずつ好きなだけ食べ、どのくらいおいしく感じるか6段階で評価してもらった。
その結果、高齢者と大学生のどちらも、鏡の前で食べた方が平均値で0・37~0・69点高く、約1~4割多く食べた。
また、別の高齢者12人を対象に、事前に撮影した、食事中の自身の静止画像と、壁だけが映ったモニターへの反応も比較したところ、静止画像の場合でも、食欲がアップする同様な結果が得られた。
もともと、誰かと食事をする方がおいしく感じるとの傾向が一般的に知られており、川合准教授は今回の成果に「食事中に人の存在を感じるだけで、おいしさが高まることが明らかになった。孤食を強いられる高齢者や学生にとって、食生活の在り方を考える一助になれば」と話している。