ノロウイルス 感染予防の方法と発症後の対処法
2016.12.21
http://news.goo.ne.jp/article/kateinoigaku/life/medical/kateinoigaku-20161213153154454.html
感染の拡大に気をつける
ここ数年、冬になると猛威を振るうノロウイルス。感染性胃腸炎や食中毒の原因となり、感染すると激しい下痢や腹痛、嘔吐などが起こります。感染予防の方法と発症後の対処法をまとめました。
◆ノロウイルスは人の腸管の中だけで増えるウイルスで、細菌のように食品中で増えることはありません。非常に感染力が強く、少ない数のウイルスでも感染に至ります。しかも、多くの遺伝子型があるため、何度もくり返し感染する可能性があります。
◆感染経路のほとんどは経口感染です。ウイルスに感染した人の便や吐瀉物、ウイルスが付着した食品や二枚貝、それらの食品の調理に使った器具、調理した人の手などから感染します。まれに、汚染された水道水や井戸水から感染するケースもあります。
◆感染から発症までの潜伏期間は24〜48時間で、発症すると激しい下痢や腹痛、吐き気、嘔吐などが1〜2日続きます。治療の基本は安静で、特別な治療の必要はありません。ただし、下痢や嘔吐がひどいときは脱水症状を起こすことがあるので、十分な水分補給が必要です。特に症状が激しい場合は、病院で点滴治療などを行います。
◆他のウイルス同様、感染予防は手洗いが基本です。手のしわなどにも入り込みやすいので、石けんは十分に泡立ててから使います。1本1本の指、指の間、手の甲、手首のつけ根までしっかりと洗ってください。
◆石けんそのものは、ウイルスに対する効果はありませんが、手の表面の脂や汚れが落ちることで、ウイルスが手から剥がれやすくなります。洗った後に手をふくタオルも清潔なものを用意しましょう。
▽▼▽便や吐瀉物の処理方法 など▽▼▽
◆感染者の便や吐瀉物の片付けをするときには、使い捨てのエプロンや手袋、マスクがあると便利です。便や吐瀉物には腸内で増殖したウイルスが大量に存在しているため、ペーパータオルなどで拭き取った後、ビニール袋に密封して処分します。床やカーペットは、次亜塩素酸ナトリウムの溶液で浸すように拭き取った後に水拭きします。
◆ほかに、衣類や寝具、おむつ、リネン類に吐瀉物が付着する場合もあります。その場合、洗剤で下洗いした後に、85℃以上のお湯に1分以上浸すか、次亜塩素酸ナトリウムの溶液に浸して消毒します。さらに、高温で乾燥機にかけるのも有効です。
◆次亜塩素酸ナトリウムの溶液は、家庭用の塩素系漂白剤で作れます。吐瀉物や便が付着した床やトイレ、衣類などには0.1%の溶液、おもちゃや調理器具など手に触れる物を消毒する場合は0.02%の溶液を用います。
◆漂白剤の原液濃度が5%の場合、1Lの水に対して0.1%溶液で20mL、0.02%の場合は4mLを加えます。消毒液は時間が経過すると効果を失うため、作り置きはできません。
◆食品に対しては、食品の中心温度が85℃以上で1分以上の加熱を行えばノロウイルスの感染は防げると考えられています。生ガキからの感染はよく知られていますが、パンや調理食品からという例もあります。十分な加熱が食中毒予防の基本です。
(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光)